学校法人 日本教育財団 名古屋医療専門学校(名古屋医専)にて、鍼灸師コース・理学療法士(PT)コースの学生を対象としたシリーズ講座「生成AI活用科(初級コース)」の専任講師を担当しています。

「AIは医療現場でどう使えるのか」——この問いに対し、私たちが選んだアプローチは「理論ゼロ・実務直結」です。AIの仕組みを教えるのではなく、明日の実習・臨床・就職活動で即使えるスキルを毎回の授業で習得してもらう設計にしました。

講座の全体像:「話す→理解する→見せる→発信する→自動化する」

各回のストーリーラインは一本の成長曲線でつながっています。

テーマ メインツール 習得スキル
AI思考と「伝える力」の拡張 Gemini カメレオントーク — 相手別書き分け
難解情報の「理解」と資料化 NotebookLM 論文・法令をSOAP/評価形式に変換
実務資料作成と画像生成入門 Gemini(画像生成) 院内掲示物・リハビリPDF・採用資料制作
メディカル・ビジュアル完全攻略 画像生成AI 医療画像 — 解剖図・姿勢分析チラシ
動画生成とSNS運用の基礎 動画生成AI Reels・動画コンテンツ制作
独立・集客・自動化戦略 複合ツール 集客HP設計・SNS自動化・院経営設計

最終的なゴールは「あなたの院が、自動で患者さんを集める資産になる」状態の実現です。各回が一貫してこのゴールに向かって積み上がる構造になっています。

第1回:カメレオントーク — 同じ情報を相手に合わせて届ける

初回のテーマは「伝える力の拡張」。腰痛・肩こりの症例を使い、同じ患者情報を4つの異なる形式で書き分けるハンズオンを実施しました。

  • 同僚への申し送り — SOAP形式(主観的情報・客観的情報・評価・計画)
  • 患者さんへの説明 — 専門用語なし、安心感を優先した一般向け文章
  • ご家族への説明 — 心理的安全性を考慮した文章
  • 夜勤引継ぎメモ — 1行に凝縮したLINE要約形式

「AIに何を伝えるか(プロンプト設計)」の本質は、誰に・何を・どの形式でという思考の整理です。この設計思想は、その後の各回の授業に一貫して流れています。

第2回:NotebookLM × 専門文書 — 論文を臨床に変換する

Googleが提供するAI読解ツール「NotebookLM」を使い、医療系論文や法令文書を臨床で使える形式に変換するトレーニングを実施しました。

鍼灸コースでは肩こり関連論文をSOAP形式で構造化、PTコースでは脳卒中リハビリテーション論文を評価実習形式に変換。さらに「あはき法(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律)」という難解な法律文書をAIで読み解くデモを実施し、「法律って、AIで読むとこんなに分かりやすいんですか」という反応が続出しました。

第3回:AI画像生成で業務資料を作る

第1回・第2回で習得した「伝える力」と「情報構造化」を統合し、「見える化」へ昇華させた回です。

Geminiの画像生成機能を使い、以下の実務資料を実際に制作しました。

  • 院内掲示物(患者向け健康啓発ポスター)
  • 自宅リハビリ指導書(PT向け)
  • 採用資料向けビジュアル
  • SNS投稿用の医療系画像

重要な気づきとして、「参照画像を使う場合は人物描写をプロンプトに含めない」という原則を発見。テキストで人物を描写するほど顔一致率が下がることが判明し、この知見は受講者に即座にフィードバックしました。

対象者別「興味パス」の設計

受講者それぞれの目標が異なることを考慮し、第2回の段階で「興味別学習パス」を提示しています。

  • インスタで発信したい方: 第2回 → 第3回 → 第5回(SNS発信)
  • チラシを作りたい方: 第2回 → 第3回(レイアウト) → 第4回(医療画像)
  • HPやスライドを作りたい方: 第2回 → 第3回(ビジュアル) → 第6回(集客HP)
  • 独立して院を持ちたい方: 全コース受講 → 集客自動化

卒業後すぐに独立開業するケースも多い医療専門職にとって、「AIで集客・経営の仕組みを作れる」スキルは直接的な競争優位になります。

設計の核心:「成果物を毎回持ち帰る」

この講座の最大の特徴は、毎回の授業で実際に使える成果物を作って持ち帰れることです。スライドを見るだけで終わる講座ではなく、授業中に作ったものがそのまま翌日の実習や就職活動で使えます。

受講者の反応として特に印象的だったのは:

「プロンプトを変えるだけで、こんなに違う文章が出てくるんですね。患者さんへの説明が苦手だったので、毎日使おうと思います。」
— 鍼灸師コース 受講生
「NotebookLMで論文を読んだら、1時間かかっていた内容が10分で整理できました。実習の準備が全然違う。」
— 理学療法士コース 受講生

医療教育機関でのAI研修:導入を検討されている方へ

名古屋医専での実践を通じて、医療・福祉・介護系の専門学校・大学でのAI研修に対するニーズの高さを実感しています。

KASAKUでは、以下のような教育機関向けプログラムを提供しています。

  • 専門学校・大学向け定期講座 — 学科の専門性に合わせてカスタマイズ
  • 教員向けAIリテラシー研修 — 教える側がまず習得する体制整備
  • 学生向け就活AI活用ワークショップ — エントリーシート・面接準備への応用

「うちの学校でも導入できるか相談したい」という段階からお気軽にご連絡ください。カリキュラム設計から当日の運営まで一貫してサポートします。